こんとあき

 『こんとあき』という絵本を紹介します。
 「こん」はきつねのぬいぐるみで、おばあちゃんに赤ちゃんのおもりをするように頼まれて砂丘町からやってきました。生まれた赤ちゃんの名前は「あき」。あきにとってこんはなくてはならない相棒となり、ふたりはいつも一緒に遊んでいました。が、時が経つにつれこんは古びて、とうとう腕がほころびてしまいます。
 そこでふたりは、ほころびを直してもらうために、砂丘町のおばあちゃんの家をめざすことになりました。列車に乗ってのドキドキした気分と砂丘の不思議な感じが伝わってくる旅。それまではこんをたよりにして生活していたあきでしたが、この旅でのさまざまな試練を乗り越えることで、とてもしっかりした少女に成長していきます。
 おばあちゃんがこんを直すときに使ったぬいぐるみの型紙(最後のページ)に子どもたちは興味を抱くことでしょう。最近は洋裁をするお母さんも減ってきましたから、子どもたちが型紙を見る機会はほとんどないといってもいいかもしれません。型紙を切って縫い合わせると「こん」になるということがわからないので、頭や尻尾、手や足がバラバラになった形のものを不思議そうに眺めています。お母さんが絵本と同じ型紙をもとにして「こん」を作ってやれば、子どもたちは「へえーっ」と驚き、喜ぶかもしれません。
 また、室内や列車の座席などの背景に多く使われているあたたかい黄色に、主人公の赤い服、バッグの緑などがよく映えて、その美しい色調にも心惹かれる絵本です。